ロボットだけじゃない!機械工学科で学ぶ内容と就職先は?
機械工学科というと、ロボットや自動車を作っていそうなイメージがありますよね。
実はそれだけでなく、炊飯器や自動改札機、食品を製造するラインなど、日常にあふれているものから普段目に見えないものまで、あらゆるところに使われている技術には機械工学が大きく関係しています。
大学では具体的にどんな勉強をするのか、どんな進路があるのかをご紹介します。
機械工学科で勉強する内容
機械工学は人の生活を豊かにするあらゆるものの設計から世に普及するところまでを担います。
1年生で数学・物理などの基礎を学び、その知識をもとに様々な工学分野に関する科目を履修していきます。
どんな勉強をするのか具体的に見ていきましょう。
すべての基本となる数学・物理
1年生では機械工学の基本となる数学や物理を学びます。
数学では線形代数や微分積分学、ベクトル解析や微分方程式などを身につけます。
物理では力学を中心に高校で習った範囲を復習します。
数学も物理も高校でやったことがベースになるので、ある程度頭に入っていると良いですが、高校で履修しなかった人にもわかるように教えてくれます。
四力学
機械力学・熱力学・流体力学・材料力学の4つをまとめて「四力学」と呼びます。
制御工学やロボット工学の基礎になる部分です。物理と数学の次に大事な部分で、基幹科目と呼ばれたりします。
各科目については後ほど詳しく説明します。
設計
モノをゼロからつくるためには、形や機構が明確でないと手がつけられません。
機械工学科では、「製図」と呼ばれる、紙と鉛筆・シャープペンを使って設計図を書く方法と、CADと呼ばれるソフトを用いてパソコン上で設計図を書く方法があります。
さらにCADには2次元平面で製図する2DCADと、立体で製図のできる3DCADがあります。
3DCADはぐるっと回して360度どこからでも見れるため、設計に矛盾がないかなどを確認しながら製図することができます。
また、設計図を書く時にはネジやボルトの規格を決める必要がありますが、すべての部品の規格が載っている『機械設計製図便覧』という辞典のようなものを使います。
情報処理
「機械工学科なのにプログラミングもやるの?」と思う方もいるかと思いますが、将来的に計算処理プログラムを自力で作ることもあります。
なのでソフトウェアを扱う際に必要なプログラミングなどの情報処理についても教わります。
使用するプログラミング言語は大学によりますが、JavaやC言語が一般的です。
応用の科目
物理・数学、四力学を身につけた後、ようやくロボット工学や制御工学、メカトロニクスなどを学習します。
これらは基礎科目の合わせ技です。
ロボット工学やメカトロニクスでは、歯車比やアナログ/デジタル信号など直接ロボットの設計に関わるような勉強をします。
制御工学ではラプラス変換などを学び、機械の制御システムに関する勉強をします。
どれも機械を思うように動かし、操作するために必要な知識です。
他にも、計測工学や機能性材料学など履修できる科目は多岐にわたります。
その他
機械工学科では人間工学や工業デザインなど、デザインについても学びます。
機械は人間が使うものなので、人間が使いやすいデザインにしなければいけません。
例えば、自動車のハンドルが天井についていたり、椅子に対して机が高すぎたりすると使いにくいですよね。
このように人間にとって使いやすい形を追求したり、また障害や年齢などに関わらず誰でも使えるユニバーサルデザインについて学んだりします。
また、各分野の最先端の技術について研究している先生からお話を聞き、学ぶ講義もあります。
四力学とは?
機械工学科で学ぶ主なジャンルについてざっくり見てきました。意外と色んなことをやっているんですね。
その中でも機械力学、熱力学、流体力学、材料力学の4科目は、先程も説明したように機械工学の基礎であり、他の科目にも必ず関わってきます。
今度は一つ一つ詳しく説明していきます。
機械力学
機械力学は物理で習った速度・加速度の応用や、機構について学びます。
機構とは、機械の中の一部が動くことで他の部分も関連して動くメカニズムのことです。
例えば、時計は分解してみると大小様々な歯車がびっしり入っており、それぞれが噛み合っています。ひとつの歯車が動き出すと、他の歯車もつられてうごきだします。こうして時計の針まで動力が届き、時間を示すことができます。この一連の流れが機構です。
機械力学では、機構の一部分にかかる力や全体の力を求めたりします。
熱力学
熱力学では、熱効率や内部エネルギーなど、熱や物質の運動や仕事について学びます。
要するに水や蒸気を温めたり冷ましたりするとどんな運動をするのかを確かめるんですね。
長くなるのでここでは書きませんが、熱力学には基本となる法則が三つあります。
主にこの三つを駆使して膨大な量の方程式を解いていきます。
熱力学では蒸気機関の例がよく使われます。昔の乗り物、SLと呼ばれる蒸気機関車で使われるものです。
また、タービンなどでの冷却やボイラーでの加熱など、様々な用途で使われる熱のサイクルについても学びます。
流体力学
流体力学は水や空気など、「液体」や「気体」の運動に着目した科目です。
流体から得られるエネルギーを、電気などの機械的なエネルギーに変えるための方法を学びます。
例えば電気が1キロワットほしい時に水車や風車から流体から得たエネルギーを得ればよいのかなどを計算します。
流体力学は、自然の力を用いた発電や車のエンジン以外にも、ロケット開発やリニアモーターにも応用されます。
材料力学
材料力学では力のつりあいや材料の耐久性について学びます。
橋について考えてみましょう。長ければ長いほど真ん中に重みがかかるため、端だけでなく中間地点にも支えが必要になってきます。
どれほどの力がかかると歪むのか、どれほど引っ張るとちぎれるのかなど、壊れにくく強いモノを作るために必要な科目です。
機械工学科の就職先は?
機械工学科で学べる内容について説明してきましたが、では卒業後はどんな分野に就職するのでしょうか。
次は機械工学を学んだ後の就職先についてみていきましょう。
半数が大学院へ
なんと機械工学科では約半数の人が大学院に進学します。
自分の研究課題についてさらに理解を深め、その後研究職や大学で教えの仕事につきます。
エンジニアなど別の職であっても、学部卒(大学卒)よりも大学院卒のほうが少し高めのお給料になっている企業が多くあります。
設計開発
設計開発とは、いわゆるエンジニアです。
メーカーなどでよりよい商品を作るために新材料の研究や商品の設計開発を行います。
「設計開発」とひとまとめにされることが多いですが、実際は設計と開発はやっていることが違います。
設計では、商品の設計図を作成するのが主な業務です。要望や現場に合わせて機械を作りつつ、品質を一定に保つためには欠かせない工程です。
開発は、設計図に合わせて実物を作っていくのが仕事です。企業の心臓部ともいえる仕事であり、大きな責任があります。
金型設計
金型とは、プラスチックなどの部品を作成するための型のことです。
金属を削ったり、溶接したりして金型をつくります。型がないとモノは作れないため、ものづくりにおいて重要な役割を担っています。
金型設計はそれぞれの会社のオリジナルを作製することが大半であり、要望に応えながらつくらなければならない一方でやり直しがきかないため、かなり高度な技術が求められます。
生産技術
生産技術は、企業の工場など生産現場において、製造ラインの設計や管理を行います。
どうすれば効率よく多くのモノを製造できるかを常に考え、作業効率化を促進するのが主な役割です。
さらに震災や大規模な災害があった際に、いちはやく作業復旧できるよう生産ラインを各地域に分散させたり、現場での課題を改善したりするのも仕事です。縁の下の力持ちですね。
機械工学科は就職に強い
機械工学科は機械に関するあらゆる知識を身につけるので、電気電子やITなどの分野に就職することも可能です。
機械工学科は男子学生が圧倒的な数を占めますが、最近は女性の活躍推進に力を入れている企業も多いので、女性の機械工学出身者は本当に就職に強いです。
まとめ
いかがでしたか?
機械工学はロボットの設計だけでなく、あらゆる場所で必要とされ、活躍しています。
生活にあふれているものはどのように作られていくのか考えると、必ず機械工学にたどり着きます。
この記事を読んで多くの人に興味を持ってもらえたらと思います。
機械に興味はあるけど理系科目苦手なんだよな…
どう勉強していいかわからない…
そう思った皆さん。
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